こんにちはお地蔵です。
今回は桜蔭中学の2021年度入試の国語の問題を一問だけ解説していきたいと思います。
「桜蔭中の受験を考えているけど過去問の演習で思うように得点が伸ばせない」という方や、「国語の得点要素ってよくわからない!」という方の疑問を解消していきたいと思いますので最後までお付き合い下さい。
まず初めに
この記事では著作権の問題から文章の掲載はしていません。一部解答根拠を明確にするときのみ部分的に引用することはありますが、お子さんの過去問演習のために読まれるかたは問題集をお買い求めいただいてご覧ください。
いろんな出版社があるかと思いますが、上記の2社が解説がしっかりしている印象です。
私は普段は声の教育社の過去問集を使用することが多いですが、たまに東京学参の解答と見比べたりします。
国語は出版社によって模範解答が変わってくることがありますので、解答を見比べて解答要素を考えることも勉強になりますよ。
文章要約
大問1 『はずれ者が進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密』稲垣英洋
Ⅰの文では「本当の自分らしさ」は周りの人間にレッテル貼りされた「〇〇君らしい」ではなくて、そのような一面も含めた多様な自分こそが「真の自分らしさ」である、と述べている。
またⅡの文では「戦わずして勝つ」には数多くの挑戦を行い、そして敗北を味わうことで自分の得意と苦手を把握する必要がある、と述べている。
設問理解
問1 「〝本当のじぶん〟らしさを探すときには、皆さんのまわりにまとわりついている『らしさ』を捨ててみることが必要なのです」と述べている筆者が「私は雑草と呼ばれる植物に心惹かれます」のように言う理由
まず初めに、読解問題の解答を出すうえで必須になるのは設問理解です。
設問理解とは、問題で聞かれていることを確認して何を答えにするのかを考える行程のことを言います。
最初に考えなくてはならないのが問題の問いの中心です。
今回問われていることは、なぜ筆者は「雑草と呼ばれる植物に心惹かれます」と言っているのかです。
つまり、筆者が雑草を好きな理由を探して考えれば良いというわけです。
では、傍線①は問われていることはなんなのでしょうか。
ここは問いに答えるときの前提としての役割を持っています。
この前提を基にして、筆者が雑草を好きな理由を答えるというのが今回問われていることですね。
傍線①の考察
ここからは実際にどのポイントを解答に盛り込めば良いのかを考えていきます。
では、次に傍線①の言い換えをしていきましょう。わざわざ〝〟や『』を使っているということは、ここには通常とは異なる特別な意味があるということです。そうでなければわざわざこれらの記号を使う必要がないからです。
B「らしさ」
この二つの違いですね。
気が付きましたか?このBの部分では「らしさ」を強調しているのにAの部分はそこではなく「本当の自分」を強調しています。ここに違いがあると考えましょう。
ではBの「らしさ」とは一体なんなのか。
「らしさ」の言い換え
ちょうど全く同じ問いかけをしてる部分が文章中にもありますね。
「『らしさ』って何でしょうか。/それはまわりの人たちが作り上げた幻想ではないでしょうか。」
また、傍線①の直前には「社会が期待するような『らしさ』」とあります。
以上のことからここでのB「らしさ」とは
- まわりの人が作り上げた幻想や社会からの期待
ということがわかります。
「〝本当の自分〟らしさ」の言い換え
続いて、Aの「〝本当の自分〟らしさ」言い換えていきます。
ここで一つ大切になるのが、AとBの関係性です。もう一度傍線①を見ていきます。
「〝本当のじぶん〟らしさを探すときには、皆さんのまわりにまとわりついている『らしさ』を捨ててみることが必要なのです」
お気づきでしょうか。AとBが対応関係にありますね。つまり、AはBの反対であると大意を掴むことができます。
しかし、Bを逆にしても文にはならないかと思います。ここでは対比の概念が頭にあればいいでしょう。
では、本文の言葉で言い換えを図ってみましょう。
「〝本当の自分〟とは違う自分に苦しくなってしまうときもあります。」
「そして時に人は〝本当の自分〟らしさを捨ててしまうのです。」
なぜ人は「〝本当の自分〟とは違う自分に苦しく」なるのでしょうか。
そもそも「〝本当の自分〟と違う自分」とはなんなのでしょうか。
先ほどの対比が掴めているのであればお分かりでしょう。「〝本当の自分〟と違う自分」とはまわりの人が作り上げた幻想や社会からの期待を指す「らしさ」です。
そしてこの「らしさ」のせいで「人は〝本当の自分〟らしさを捨ててしまう」のです。
- 「らしさ」のせいで〝本当の自分〟らしさを自ら捨ててしまう
あとは上記の内容をつなぎ合わせて傍線①の内容を解答にするとこのようになります。
桜蔭中には多彩な語彙も必要
ほとんどこれで問題無いように感じますが、桜蔭の問題はもう少し求められていると考えた方がいいでしょう。具体的には〝本当の自分〟を言い換えられていないことに気づいたかどうかです。そして、この文章中では〝本当の自分〟の言い換えは載っていないのです。
ではどのように言い換えてあげるのが良いのか。
文章冒頭のゾウの例に注目してあげましょう。
なぜ筆者はこの例を出したのでしょうか。
キリンもシマウマもバクもオオカミも全てある一つのことが言いたい例なのだと気が付くことができましたでしょうか。
それは「人間の思い込みは一面的なものでしかない」ということです。
「人間の思い込み」=「幻想や期待」=「らしさ」
と言えるので、まとめると
以上のようになります。
とすれば、当然Bの解答にもこの要素の対比を盛り込むべきです。
「一面的」な言葉に対する対比の言葉なので「多面的」などの言葉が出てくるよ良いでしょう。
このように桜蔭中の論説文は単純に本文の言葉でまとめるのではなくて、本文の内容をまとめる語彙力がある方は良いでしょう。
なぜなら、解答欄に対して答えなくてはいけない内容が多すぎるからです。
そのためにも本文の簡単な要約ができる能力は必須と言えるでしょう。
ここまでの記述が考えられると桜蔭中の合格はぐっと近づいてきます。
傍線②の考察
続いて傍線②の「私は雑草と呼ばれる植物に心惹かれます」の理由を考えていきましょう。
まず注目しなければいけないのが「私が雑草を好きな理由は(一般的な人が好きな理由と)少し違います」の一行です。
ここから後ろの内容でまとめていくのがわかりますね。
「雑草は図鑑どおりではありません。それが何よりの魅力です。」
「人間にとって、図鑑は正しいことが書いてあるものです。…つまり、『こうあるべきだ』と書いてあるのです」
「人間が勝手に作り出したルールや『こうあるべき」という幻想にとらわれない雑草の生き方がとても痛快で少しうらやましくもあるのです。」
以上の内容をまとめるだけで良いかと思います。ここは大多数の受験生が書けるポイントかと思います。
以上のようになります。解答の各要素はA~Dまでの4つだと推測されます。なお、厳密な配点は公表されていないため、解答要素はもう少し細分化される可能性があります。また、それにともなって各要素の配点も明確なことはわからないということをご理解下さい。
おわりに
いかがだったでしょうか。
女子は国語が得意なこともあり女子校の国語は問題は難しい傾向にありますが、首都圏私立女子中学入試の最難関校になるため、最難関の難易度であることは間違いないでしょう。
また、過去問を購入された方はお分かりいただけたかと思いますが、問題集の解説にはここまで書かれていません。
これが国語学習がわからないと言われる理由なのですが、解説が十分ではないのです。
その理由は一問解説するだけで丁寧にやると上記のような分量になるからです。
だからこそ塾に通っているのであればしっかりと担当の先生に相談することが大切になってきます。
もしも相談する相手が見つからないようでしたら、ツイッターなどから質問の返答や相談に乗ることもできます。お気軽にご相談下さい。
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